【フードデリバリー】UberEatsと他社サービスを比較

2022年9月18日

UberEatsがフードデリバリーの代名詞的存在だが、出前館やmenu、Woltといった同業他社が複数存在する。

これらサービスの良し悪しを検証した。

UberEatsのメリット

UberEatsの一番のメリットは「気楽にできる」、という1点に尽きる。

以下がUberEatsのメリットであり、同時に同業他社で稼働する際のデメリットだ。

個別の配送オファー

初めてフードデリバリーをする場合にイメージする業務手順は、

  1. アプリに注文の着信がありそれを受諾
  2. 店に向かいピックアップ
  3. 客先に配送

という手順だろう。最初の手順の着信の受託フェイズにおいて、UberEatsは通知から受諾まで30秒間の猶予が設けられている。その間に一通りの流れを想像し、困難な依頼を拒否する事ができる。

だがこの受諾フェイズは各社で仕様が異なり、出前館やmenuでは早い者勝ちの早押し勝負となる。この場合、不合理な注文を焦って見落とす事態が多々発生する。不合理な注文とは、とんでもなく遠い注文や配達指定時間をとうに過ぎた注文の他、崩れやすい食品・カバンに入らないとおぼしき大型の商品などなどの事だ。UberEats以外では受注後のキャンセルができない仕様が一般的である。

またWoltは早押しではない一方で、配送に関する拒否権自体がなく、一たび通知が鳴れば必ず配送を行う義務がある。

受注後のキャンセルができる

間違って受注してしまったものはキャンセル可能だ。よくよく見ると遠い・商品が多すぎ・大きすぎ・お店が混んでいて待機時間が割に合わないなどなど、ある程度ワガママな事情でもキャンセルしてよい。決して推奨するものではないが、簡単な操作で目的が達成される。私はパンクでキャンセルする事が一番多かった。商品受け取り後は無言キャンセルしないように。

商品破損時に弁償がない

渡された商品を見て「これは崩れるな」と思う事も多々あり、その場合にもキャンセルができるのはUberEatsの強みだ。それに加え万一破損、こぼした場合でも弁償する必要がない。もちろん明らかに破損した商品の扱いは客の意向に沿う必要がある。返金なら「サポートに連絡願う」で終わるが、再配達になった場合は余計な時間が発生する。代替品の用意の他、サポートとのやり取りも多い。これらに時間を取られる事で間接的に収入に影響する。出前館とWoltはそれよりも厳しい。対象の報酬が没収される他、Uberと同様の対応も行う必要がある。これら作業をボランティアで対応するので、収入により直撃する。

イレギュラー時の対応が比較的楽

客が出て来ない、住所が全然違う等々、客の不在時や連絡不可時は目的地到着後に10分で案件を強制終了でき、配送中の商品の取り扱いは配達員に一任される。その間にメッセージを1度、電話を2度かける必要はあるが、他サービスと比較するとかなり楽である。

連絡が取れても配達が困難と判断(あと10分で帰ります、住所が4,5kmズレてる)した場合は、サポートと相談の上でキャンセルが可能となる。住所が全く違う事態は経験上300~500件に1度は発生する。人によっては日常的な課題である。

menuは2022年になって不在時の対応をUberEatsのそれに準拠したが、出前館は「指定時間」から10分以上の待機、その都度拠点への連絡が必須となる。指定時間よりも早く到着した場合は最大20分ほど無償で待機する必要が出てくる。よってピークタイムに不在が発生するとかなりの機会損失となるリスクがある。不在確定時も担当者の指示に従う他なく、最悪は返品に向かう事も想定される。

現金対応が楽

取得した代金を清算する必要がなく、そのまま自分の財布に入れても良い。収集した現金が収益を超えた場合はクレジットカードで精算する。在宅で完結する上にクレジットカードのポイントも溜まる。出前館は毎日コンビニで精算する必要がある。

UberEatsのデメリット

単価が安い?

まずはこの点を取り上げるが、一言にデメリットとは言い切れない。詳細は後述する。

特に出前館の単価と比較される事が多い。UberEatsの最低支給額は300円/件であり、平均すると400~500円の単価となる。

これに対し出前館の最低支給額は550円/件である。これに距離報酬が加わると100円~200円/件以上の平均単価差がUberEatsとの間に生じる事となる。

だがUberEatsの報酬体系は後述するクエストを考慮する必要があるので、一言に安いとまでは言い切れない。

報酬体系が複雑

他と比べ唯一かつ最大のデメリットは、単価が安いというよりも、報酬制度が複雑かつブラックボックスな点である。ぱっと思いつくだけでも以下の要素が複雑に絡み合う報酬体系となっている。

  • 所要時間を反映した報酬(時間調整金)
  • ベース料金
  • エリアボーナス
  • 走行距離
  • ピーク時間帯ボーナス
  • 雨天クエスト
  • 日跨ぎクエスト

この体系を解明しようとしても時間の無駄である。重要なのは最低300円/件の報酬、登録エリア外に出ると数十円単価が下がる、需要により~200円程の範囲で単価が変動する事、出現クエストによっては他社サービスよりも単価が劣る点である。クエストにかなり左右される報酬体系となっている。

クエストとは

雨クエスト

雨天時のクエストは直観的に理解できると思う。100円~300円/件の追加支給となる。ただし10時30分~15時、17時以降のピークタイムにしか出現しない事には注意したい。また天気予報で想定のないイレギュラーな雨天時は、クエストの出現確率がかなり下がる。

日跨ぎクエスト

以前は日を跨がないクエストが多くあった為にその名残からこう呼ばれる。現在では日跨ぎクエストの方が一般的であり、クエストと言えば主にこちらを指す。期間は月曜起算の1週間であり、出現条件はブラックボックスである。各人の経験則によってのみ推し量る事ができる。

出現時のパターン例を以下に示す

30件クエスト1250円/10件1250円/10件1250円/10件
50件クエストA3000円/30件1000円/10件1000円/10件
50件クエストB3000円/30件1000円/10件6000円/10件
70件クエスト5000円/50件1000円/10件8000円/10件
100件クエスト7000円/70件1500円/15件11500円/15件
日跨ぎクエストの例

一般的に囁かれているのは2週間~3週間前の稼働結果からクエストの達成件数を設定するというもの。つまり週に30件ずつクリアしていれば30件クエスト、またはその一つ上の50件クエストが出現するという法則。1週間でより多くの件数を配達すれば、その数に見合った大型のクエストが発現する。しかしながら最低限の支払い条件が10→30→50→70件達成時と徐々に多くなり、高額になるほど達成できなかった場合のリスクが上がっていく。

よって完全にランダムとまではいかないが、容易にコントロールできるものではない。繁忙期は50件クエストAのように200円/件以上を支給する良クエストが出やすいが、閑散期に入ると50件クエストBのように、100円/件まで下落したり、注文数が少ないにも関わらず一つ上のクエストが出現するなど不利になる事も多い。

UberEatsの報酬は安いか?

確かに他と比べて劣る場面が多い。だがクエストの件を考慮すれば一言に「安い」と断言できるのかは疑問の余地を残す。出前館の報酬体系を追い越せるとまではいかないが、同等程度まで迫る事はできるだろう。雨天などで上回る状況もある。といよりも、出前館の報酬はUberEatsの平均報酬より少しだけ上となるように設定されている。

UberEatsの強みは何よりストレスが少ない点だ。

稼働における多少のストレスを許容できるのであれば他社の方が安定して報酬を得る事ができる可能性は高い。UberEatsのメリットを甘受したければ、甘んじて配送AIの奴隷となる他無い。